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出会いの泉

アルフレッド・キンゼイ

彼は、エンジニアであり宗教的に厳格な父の下に育てられ、少年期においては禁欲的な生き方を余儀なくされた。
自分と同じエンジニアになることを求める父に猛反発し、幼い頃から興味のあった昆虫研究を続けるため、通っていた工科大学を中退する。
以後ボードン大学、そしてハーバード大学で学び、分類学の博士号を取得する。
インディアナ大学でタマバチの研究に携わり、同分野の第一人者として注目を浴びていた最中、学生からの質問をきっかけに人間の性行動に興味を持ち、それまで学んできた昆虫研究における統計手法を人間に適用することで人間の性の実態を明らかにしたとされていた。
しかし、最近では彼が両性愛のマゾであり、学生、助手、愛人、妻との集団性交を薦めていたこと、幼少期に親から受けた厳格なキリスト教の教育に反発していたことが明らかになるにつれ、研究姿勢そのものの客観性・中立性が信用できないとの意見も存在する。
1948年と1953年、アメリカの白人男女約18,000人の性に関する調査報告である、いわゆるキンゼイ報告を発表する。
これは、性科学の分野の地平を開くこととなった調査である。報告は数年にも及ぶ、膨大な数のアンケートと面接調査をもとに作られたものであった。
成人男性の三割・成人女性の二割は同性愛的傾向を持っていること、女性もマスターベーションをすることなど、当時では考えられることのなかった内容を発表し、一大センセーションを巻き起こす。
当初はその内容の過激さから反発を受けたが、信仰に基づいた性の「かくあるべき」という通念を排し、実際に「どうあるか」を知らしめたことで、その後の医学の発展や女性の権利向上に大いに影響を与えたとされる。
しかし、実際は「ランダム」であるべきサンプルの内の25%は刑務所にいたことのある前科犯、5%は男娼であったということなどで、バイアスがかかっているという批判もされている。
一方で、これらのバイアスを取り除いても似たような結果になる、という再反論も存在する。
さらにまた別の批判として、社会的タブーの情報を面接で収集すると、そのようなタブーを躊躇無く論じることが出来る者がサンプルに多く含まれる、よって面接による収集という手法そのものがこのような内容の問題においてはバイアスとなっているのであり、サンプルから全体を推察するという統計の目的上は無意味であるという批判が、報告の出版当時から学者の間で存在していた。
このように、多くの論争を招くことになったキンゼイ報告だが、現在でもその内容が信頼され引用されることが多く、人間の性に関するもっとも重要な調査文献、データの一つとなっている。
2004年に制作された彼の伝記映画「愛についてのキンゼイ・レポート」では、リーアム・ニーソンがアルフレッド・キンゼイを演じた。
しかし、この映画ではキンゼイの当時の社会的感覚でいえば「破廉恥」と捉えられかねない特殊な私生活の内容は、およそ控えめにしか描かれていない。

キンゼイ報告女性篇

1948年の『キンゼイ報告男性篇』に引き続いて発行された、人間の女性のセックスに関する最初の総合的な経験的研究で、1938年から1949年の間に行われた7789人の米国人女性への個人的面接調査に基づいている。
この報告の中心的研究者であったキンゼイは、元々は昆虫の研究を専門とする動物学者であった。
彼は学生からの人間の性行動に関する質問を受けた際に、既存の知識が貧弱で科学的妥当性に欠けることを見いだし興味を持った。
そこで、生物学者として彼が用いてきた手法を人間にも適用し、1937年より多数の被験者を面接により集めアンケートをとり、統計的に解析した。
集まった女性被験者の数は7789例であったが、統計解析は刑務所に服役中の女性915例と白人以外の女性934例を除外し、囚人でない白人女性5940例に基づいておこなった。
結果として得られた女性のセックスに関するデータには、例えば以下のようなものがある。
約62%がマスターベーションを人生において経験し、そのほとんどがオーガズムを伴うものである。50%が結婚前に性交経験がある。40歳までに19%が同性愛経験をする。1?3%が完全な同性愛傾向を有する。成人女性の3.6%が動物との性的接触経験がある。
生理的な性反応に認められる基本的な要素は男女間においてその差異はない。また、データ全体からは、女性のセックスの多様性と広がりが示された。
キンゼイ報告は、セックスがいかにあるべきかという従来の情緒的信念に対し、実際はどうであるかという客観的な統計を示した。
その結果、その後の性科学発展の礎となり、また性革命や女性解放運動に多大な影響を与えることになった。

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